英語名: sh-Oligopeptide-1 (EGF)
評価: 良い
分類: ペプチド
ひと目でわかるポイント
- EGFは表皮細胞の増殖を促進し、肌のターンオーバーをサポートする成長因子です。
- 年齢とともに減少するEGFを補うことで、シワやたるみのエイジングケアに寄与します。
- 一般的に配合される濃度は数ppm〜数十ppmであり、高濃度必ずしも効果が高いわけではありません。
- 肌のバリア機能を正常化し、外部刺激に対する抵抗力を高める効果が期待できます。
- 分子量が大きいため、浸透技術や安定化処方が品質の鍵を握ります。
こんな肌悩みにおすすめ
ハリ不足が気になる方
加齢によって減少したコラーゲン生成のサポート役として、弾力のある肌へ導く助けになります。
キメの乱れが気になる方
表皮細胞の生まれ変わりを整え、肌表面を滑らかに整える効果が期待できます。
乾燥による小ジワが気になる方
保湿成分とともに働きかけ、乾燥で目立ちやすくなる細かな線を目立たなくします。
臨床データ
📊 臨床エビデンス
Journal of Drugs in Dermatology (2016) の研究では、EGF配合クリームの使用により、目尻のシワの深さおよび面積において有意な改善が報告されています。また、安全性も確認されています。
Journal of Drugs in Dermatology, 2016 (n=被験者, 12週間)
| 濃度 | 期待できる効果 | 刺激性 |
|---|---|---|
| 低濃度 (数ppm) | 基礎的なエイジングケア | 低 |
| 中濃度 (10ppm) | ハリ・キメの向上 | 低 |
| 高濃度 (50ppm+) | 効果は頭打ち傾向 | 中 |
▶ 科学的背景を詳しく見る
EGF(Epidermal Growth Factor)は、53個のアミノ酸からなるペプチドホルモンです。1962年にスタンリー・コーエン博士によって発見され、ノーベル生理学・医学賞の受賞対象となりました。肌の表面にある表皮細胞にある受容体(EGFR)に結合することで、細胞分裂や増殖を促進するシグナルを送ります。
スキンケアに用いられる「sh-Oligopeptide-1」は、遺伝子組み換え技術によって作られた合成ヒトEGFであり、天然型と同じアミノ酸配列を持っています。しかし、EGFは約6,000Daという比較的大きな分子量を持つため、角層のバリア機能を通過して真皮まで到達するのは困難であるとされています。
📊 臨床エビデンス
2023年のレビュー(Cutaneous and Ocular Toxicology)では、経皮投与されたEGFが実際に皮膚深層に到達して効果を発揮しているのか、あるいは単に角層の保湿効果によるものか、科学的な議論("risk or fraud")が続いていることが指摘されています。しかし、多くの臨床試験において目に見える肌質改善が報告されているのも事実です。
この「浸透の矛盾」に対しては、EGFが表皮のケラチノサイト(角化細胞)に直接作用してターンオーバーを促進し、その結果として肌の見た目が改善するという説や、マイクロニードルや特殊キャリア等による浸透技術の進歩が注目されています。
Biomaterials (2020) などの研究では、EGFの放出制御や安定化技術に関するバイオマテリアルの進展が報告されており、今後より効果的なデリバリーシステムが開発されることが期待されています。
▶ エビデンスに基づく使い方
EGFはタンパク質であり、熱やpH変化に弱いため、使用環境に注意が必要です。洗顔後の清潔な肌に、化粧水で肌を整えた後に使用するのが最も効果的です。細胞分裂が活発になる夜間のケアに取り入れることを推奨します。
併用に関しては、同じく細胞の活性化や修復を促す成分との相性が良いです。特に、肌の土台を整えるレチノールや、コラーゲン生成を助けるビタミンC誘導体との組み合わせは、エイジングケア効果を高めるシナジーが期待できます。ただし、レチノールや高濃度酸を使用している場合は、肌への負担を避けるため隔日での使用や順序を工夫してください。
⚠ 使用上の注意
EGFは細胞増殖を促すため、理論上は「傷」がある部分での過剰な増殖を懸念する声もあります。ニキビや炎症のある箇所、極端に敏感な状態の肌への使用は控え、肌が安定している時に使用してください。また、妊娠中・授乳中の使用は医師に相談することをお勧めします。
| 成分 | 併用推奨度 |
|---|---|
| レチノール | 推奨(交互使用が望ましい) |
| ビタミンC | 推奨 |
| 高濃度AHA/BHA | 注意(日中混合は避ける) |
▶ FILLTHEFRAMEでの活用
💡 FILLTHEFRAME処方ポイント
FILLTHEFRAMEの「LHA 1% Daily Serum」には、sh-Oligopeptide-1 (EGF) を配合しています。この製品は、LHA(ロイヒドロキシ酸)による極めてマイルドな角質ケア作用と、EGFによる肌育成作用を組み合わせることで、肌の代謝サイクルを整え、透明感のある健やかな肌へと導くことを目的として設計されています。
私たちがEGFを配合する際に最も重視しているのは「安定性」です。ペプチドは水中で分解されやすいため、特殊な容器やpH調整技術を駆使して有効成分の活性を維持しています。また、単にEGFを配合するだけでなく、肌のバリア機能を支えるセラミドやヒアルロン酸などの保湿成分と複合させることで、EGFが働きやすい環境(モイストスキン)を整える処方としています。
特にLHAとの組み合わせは、古い角質を優しく取り除きながら、EGFが新しい細胞に働きかけるという「リニューアルサイクル」を最大化するための独自のアプローチです。これにより、キメの整った、ハリのある肌を実感していただけるよう開発を行いました。
関連成分
FGF (線維芽細胞増殖因子)
真皮のコラーゲン生成を促進し、深いシワケアに寄与します。
エイジングケア銅ペプチド (GHK-Cu)
傷の修復や抗酸化作用に優れ、肌のコンディションを整えます。
修復パルミトイルペプチド
コラーゲンやエラスチンの産生を促進し、ハリをサポートします。
ハリ参考文献
- Biomaterials, 2020 Apr, "Biomaterials for wound healing and tissue regeneration", pages 119-153.
- Journal of Drugs in Dermatology, 2016 Sep, "Efficacy of a recombinant human epidermal growth factor in the treatment of female facial wrinkles", pages 1092-1097.
- Cutaneous and Ocular Toxicology, 2023, "Topical application of sh-oligopeptide-1 and clinical trials with cosmetic preparations: risk or fraud?" (PMID:37452558)