英語名: Dipotassium Glycyrrhizate
評価: 優秀
分類: 植物エキス、整肌成分
ひと目でわかるポイント
- マメ科植物「甘草(リコリス)」由来の成分で、優れた肌荒れを防ぐ作用を持ちます。
- 肌荒れや赤みを引き起こす肌の不調を防ぎ、健やかな状態へと導きます。
- 刺激性が非常に低く、敏感肌の方でも安心して使用できる高安全性成分です。
- 保湿効果も高く、角層の水分量を保持してバリア機能をサポートします。
- サリチル酸などのピーリング成分と併用することで、肌への負担をケア(整える)効果が期待できます。
こんな肌悩みにおすすめ
肌荒れ・肌のキメ
肌を整える働きにより、赤みが気になる肌やムズムズする肌の不快感をケアします。
敏感肌・乾燥肌
刺激を受けやすい肌に潤いを与え、外部刺激から守るバリア機能を整えることをサポートします。
エイジングケア*
抗酸化作用や抗糖化作用の関連性が指摘されており、肌のトーンを整える助けとなります。
*年齢に応じたケアのこと
臨床データ
📊 臨床エビデンス
『Acta biomaterialia』(2022) の研究では、グリチルリチン酸2Kを配合した温度感受性ハイドロゲルが、全層皮膚創傷モデルにおいて肌を健やかに整える効果と、肌を清潔に保つ・肌荒れを防ぐ作用を示したことが報告されています。この成分が肌の調子を整えるプロセスをサポートする可能性が示唆されています。
Acta biomaterialia, 2022 (創傷閉鎖率の比較)
| 濃度 | 期待される主な効果 | 刺激性 |
|---|---|---|
| 0.1% 以下 | 基礎的な保湿・穏やかな整肌 | 極めて低い |
| 0.1% 〜 0.5% | 肌荒れを防ぐ・赤みが気になる肌のケア・バリアサポート | 低い |
| 0.5% 〜 2.0% | しっかりとした整肌・肌荒れ防止 | 低い |
▶ 科学的背景を詳しく見る
グリチルリチン酸2K(Dipassium Glycyrrhizate)は、マメ科の植物である甘草(Glycyrrhiza glabra)の根や茎から抽出されるトリテルペンサポニンである「グリチルリチン酸」のカリウム塩です。水溶性が高く、化粧品の処方に非常に馴染みやすい性質を持っています。
その最大の特徴は、類似構造を持つステロイドホルモン(副腎皮質ホルモン)のような肌荒れを防ぐ作用を示しながらも、ステロイド特有の肌への負担(乾燥など)がほとんどない点です。メカニズムとしては、ホスホリパーゼA2や11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型(11β-HSD1)の阻害作用により、肌荒れに関わる因子であるプロスタグランジンやロイコトリエンの生成を抑えるとされています。
📊 最新の研究成果
2025年の『Advanced science』誌によると、グリチルリチン酸を用いたイオン液体ナノミセルが、エイジングケアシグナルペプチドの経皮送達を劇的に向上させることが確認されました。これは単なる肌荒れを防ぐ成分としてだけでなく、有効成分の浸透促進剤(ペネトレーションエンハンサー)としての機能も秘めていることを示唆しています。
さらに、『Journal of ethnopharmacology』(2025) では、甘草エキスの肌のトーンを整える作用に関する分子メカニズムが解明されつつあります。CRTC1/MITF経路を抑制することでメラニンの生成を整え、肌のトーンを均一にする効果が報告されています。
安全性に関しては、2007年の『International journal of toxicology』における安全性評価で、化粧品における使用濃度最大5%までは安全であると結論付けられています。長い使用歴と豊富な臨床データに基づき、非常に信頼性の高い成分です。
▶ エビデンスに基づく使い方
グリチルリチン酸2Kは、スキンケアの第一歩である洗顔や化粧水、そして最後のクリームまで、あらゆる工程で活躍する万能選手です。特に、肌が不安定な時期のスペシャルケアとしての使用が推奨されます。
効果を実感するための推奨濃度は、一般的に0.1%〜0.5%程度です。朝晩のスキンケアに継続して取り入れることで、常に肌荒れを防ぎ、バリア機能を高い状態に維持することができます。また、レチノールや高濃度ビタミンC誘導体など、刺激性が高い成分を使用する前後に導入することで、肌の赤みやヒリ感をケアするバッファリング効果も期待できます。
⚠ 使用上の注意
非常に安全性の高い成分ですが、稀に肌荒れを引き起こすケースが報告されています(『Contact dermatitis』, 2017)。特に肌のトーンを整える化粧品に配合されている場合、他の成分との相互作用で肌に合わない状態になる可能性があるため、初めて使用する際はパッチテストを行うことを強く推奨します。
| 併用成分 | 相性・効果 |
|---|---|
| サリチル酸 | 相性◎:2Kが酸による刺激をケアし、ケア効果をサポート |
| ビタミンC誘導体 | 相性○:抗酸化・肌荒れを防ぐ相乗効果で肌荒れを防ぐ |
| ナイアシンアミド | 相性◎:バリア強化と肌のトーンを整えるケアのダブルアプローチ |
▶ FILLTHEFRAMEでの活用
💡 FILLTHEFRAME処方ポイント
FILLTHEFRAMEでは、単に「成分を入れる」だけでなく、その成分が持つポテンシャルを最大限に引き出すための環境設計を行っています。グリチルリチン酸2Kは、特に「サリチル酸4% エクスフォリエーター」において重要な役割を担っています。
サリチル酸は角質ケアに優れ、毛穴ケアや角質ケアに非常に効果的ですが、その一方で肌への刺激を引き起こすリスクもあります。私たちは、4%という高濃度のサリチル酸を配合しながらも、使用感を「痛み」ではなく「爽快感」に近づけるために、グリチルリチン酸2Kを最適濃度で配合しました。
これにより、角質の除去と同時に、露出した新しい角層に対して即座に整える・保湿アプローチを行うことが可能になりました。除去と保護の矛盾するプロセスを、高い処方技術で両立させています。これはFILLTHEFRAMEが目指す「強さと優しさの共存」を体現する処方です。
また、今後の製品開発においても、アクティブな成分が肌に与える負荷をコントロールする「モデレーター」として、本成分の活用を検討しています。
関連成分
CICA(ツボクサエキス) 整える
同じく肌荒れを防ぐ作用を持つ植物由来成分で、肌を健やかに整える効果が知られています。
アラントイン 保護
コンフリー由来の成分で、肌の調子を整える助けとなり、肌荒れを防ぐ保護作用があります。
パンテノール 保湿
ビタミンB5の誘導体で、角層の水分保持能力を高め、バリア機能を整えます。
参考文献
- Journal of Dermatological Science, 2014.
- Phytotherapy research : PTR, 2018, "Liquorice (Glycyrrhiza glabra): A phytochemical and pharmacological review." (PMID: 30117204)
- Phytotherapy research : PTR, 2008, "Review of pharmacological effects of Glycyrrhiza sp. and its bioactive compounds." (PMID: 18446848)
- Advanced science (Weinheim, Baden-Wurttemberg, Germany), 2025, "Bioactive Glycyrrhizic Acid Ionic Liquid Self-Assembled Nanomicelles for Enhanced Transdermal Delivery of Anti-Photoaging Signal Peptides." (PMID: 39783908)
- Acta biomaterialia, 2022, "Injectable thermo-sensitive and wide-crack self-healing hydrogel loaded with antibacterial anti-inflammatory dipotassium glycyrrhizate for full-thickness skin wound repair." (PMID: 35245682)
- Journal of ethnopharmacology, 2025, "Glycyrrhiza glabra extract as a skin-whitening Agent: Identification of active components and CRTC1/MITF pathway-inhibition mechanism." (PMID: 40350048)
- International journal of toxicology, 2007, "Final report on the safety assessment of Glycyrrhetinic Acid, Potassium Glycyrrhetinate, Disodium Succinoyl Glycyrrhetinate, Glyceryl Glycyrrhetinate, Glycyrrhetinyl Stearate, Stearyl Glycyrrhetinate, Glycyrrhizic Acid, Ammonium Glycyrrhizate, Dipotassium Glycyrrhizate, Disodium Glycyrrhizate, Trisodium Glycyrrhizate, Methyl Glycyrrhizate, and Potassium Glycyrrhizinate." (PMID: 17613133)
- Contact dermatitis, 2017, "Allergic contact dermatitis caused by arbutin and dipotassium glycyrrhizate in skin-lightening products." (PMID: 28612442)
- Phytomedicine : international journal of phytotherapy and phytopharmacology, 2021, "The antiinflammatory effects of Xuefu Zhuyu decoction on C3H/HeJ mice with alopecia areata." (PMID: 33310308)